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    • 2017.12.04 Monday
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    東海道線駅そばめぐり

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       ふだん、東海道線を輪行で利用するときはもう少し時間が早い。たいていは始発乗り継ぎで6時台の列車に乗るが、今日は7時台。しかも日曜日とあってここまでのどの列車も比較的空いていた。
       今日は自転車を持っていない。先週のサイクリングで久しぶりにちょうけい靭帯炎を起こしてしまったからと言うわけではなく(いや、ゼロとは言わないけれど)、駅そばを食べに行きたくなったという明確な目的を持っていたからだ。
       もっとも自転車に乗ろうという気もあってコースプランも考えていたのだけど、なぜか気持ちが乗り切れず自転車をやめ、鉄道旅に切り替えた。とはいえ急に目的が決まるわけでもないので、かねてから未制覇の駅そばを食べに行くことにした。

       東京駅。
       発車までまだ7分ある東海道線の先頭車はがらんとしていた。僕は席を確保し沼津の駅そばを目指して出発を待つ。









       東京駅を出ると東側の窓から日差しがゆるやかに差し込んだ。僕は西側の席に座り山手線や京浜東北線や東京タワーを眺めていた。なるほど確かに空は青い。でも予報は午後から雨が降るのだと言っていた。それゆえ僕は折りたたみの傘を鞄に入れている。
       いつものことだけれど東海道線は東京駅を出たばかりはさほど混んでいない。品川で乗り、横浜で乗り、車内はおおむね埋まる。埋まった状態で藤沢、茅ヶ崎、平塚と経て小田原までは変わらない。この日もそうだった。ふだん輪行するときに比べ1時間から1時間半ほど遅いけれど状況はあまり変わらないようだから、朝方から午前中にかけてはそんな人の流れなのかもしれない。
       どこの駅からか輪行氏がひとり乗ってきた。

       小田原を過ぎると僕は席を立ち、ドア際に立った。ここから熱海までは入り組んだ地形とともに海が望める。僕が座っていた席は海とは逆側、座っていても仕方がないしこれから熱海まで立ちっぱなしでかまわない。広く大きな窓から海を眺めながら熱海を目指した。
       熱海へ着くと列車は終点。かつて国鉄の時代は東海道線の多くが沼津行きだったけれど、JRになった今は熱海どまりが大半。JR東日本とJR東海との境界駅が熱海だからやむをえないけれど、ここで乗り換えをしなくちゃならない。終着駅に着いた列車からすべての人が降り、地下連絡通路へ向かった。
       隣のホームに伊東を経て下田へ向かう伊東線の列車が止まっている。今日の僕は東海道線をさらに西へ向かう島田行きに乗る。途中見かけた輪行氏も島田行きで自転車の置き場を探していた。どこまで行くのだろう。――自転車いいな、などと今さら思った。
       JR東海の5両編成の電車は沼津駅に着いた。
       乗客がどっと降り、そしてまたどっと乗った。席は埋まって立ち客がドア周りやつり革にいる混雑率のまま静岡へ向かうのだろう。
       駅前は、残念ながら多少寂れた感じがあった。街全体が観光地の熱海とも違い、新幹線停車駅の三島とも違う。特に目新しいものはない。自転車があれば沼津漁港へ行ってみたりそこから海岸ぞいに千本松原を見てもいい。しかし歩くにはいささか距離がありすぎる。
       何をするでもないしそもそも目的は駅そばなのだからと再びホームに戻ることにした。
       さっき降り立った下りホームの店はシャッターが下りていた。上りホームは湯気が上がっているようなので上りホームへ向かった。下りホームの店はいつも閉めているのか今日だけなのかはわからなかった。







       真っ黒いつゆのそばが僕の前に現れた。そばつゆは甘辛く僕好みだった。だしがあまり強くないのかあっさりしているように感じた。僕はもう少しどっしりしていてもいい。そして何よりねぎが違う。ねぎの種類に明るくないからわからないのだけど、関東で食べるそばのねぎとは違うものが入っていた。そしてなるとが入っていた。
       僕は熱いかき揚げそばを5分と少しで食べ、つゆもほとんど飲んだ。おいしかった。
       丼をおばちゃんに返し水を飲み終え、僕は目の前に止まっている三島行きの列車に乗ることにした。東京に戻るためにはどうせそのあとの熱海行きに乗らなきゃならないけれど、三島の駅まで行って降りてみるのも悪くないなと思った。発車までいくぶん時間があったのでホームの先端まで行きそれから後端まで行ってみた。御殿場線との分岐のあいだには車両基地があり数多くのポイントで複雑な配線を織り成していた。その車両基地だけじゃなくいろいろなところに留置線があり、かつて交通の要衝だったことをうかがわせた。今だって車両があちらこちらに留置されている。とは言ってもいまや2両3両の短い車両たちばかり。かつての長大編成の車両たちはもうここにはいない。







       御殿場線の電車が隣のホームへやってきた。降りた客が跨線橋をわたってこちらへ向かってくるのが見える。あっという間に三島行きはいっぱいになった。僕はあとから乗り込んで扉にもたれかかり立った。

       なんだかまだそばを食べられそうな気がした。
       そういえば三島の駅にもそばがあった。乗り継ぎの時間が許すなら食べてみようか、かけなら食べられるはず――そう思った。
       三島に着くと大半の乗客は地下道へ向かった。僕と同じように後追いの上り列車を待つ人も幾人かいた。乗ってきた列車は方向幕を「沼津」に変えた。――ひと駅間だけを行ったり来たりする列車? そんな運用をしているのか。
       さて乗り継ぎ時間は10数分あるようだった。
       かけそばなら充分に食べられる。そう思って湯気の立つそば屋を見てみたら沼津駅で営業している店と同じ会社だった。それでも食べようか少しだけ考えてやめた。僕はホームのベンチに座り駅の営みを眺めていることにした。伊豆箱根鉄道の修善寺行きが2本行き来した。そのホームにある自販機のアイスが食べたくなった。







       さあ帰ろうと思った熱海行き、これを降りてから東京行きへの乗り継ぎがまた10数分あることがわかった。
       ならば、と思い僕はあらためてそばを食べてみようかと思った。熱海の駅にはふたつの駅そばがあることを記憶していた。しかもその二店舗は会社も異なる。どちらにしようか悩んで伊東線のホームにあるそば屋へ行きかけそばを頼んだ。
       沼津の甘辛つゆに比べてここはしょっぱく感じた。沼津を食べたあとだったからかもしれない。以前輪行の帰りに食べたときはそんなことも感じなかったからこれがふつうなのかもしれないが、このときはしょっぱく感じた。
       こちらでもおいしく2食目のそばを食べ終え、東海道線上りホームへ向かった。JR東海の5両や6両に比べこちらはグリーン車もある15両。そのうちの一車両に席を取り座った。窓からは変わらずゆるめの日差しが差し込んでいた。今日は傘を差すことはないな――そう思った。


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