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    • 2017.12.04 Monday
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    梅雨と月末

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       日々の天気が不安定。天気予報もあてにならなかったりする。
       だからこの時期は併案を用意しつつ週末に臨む。

       晴れたら自転車、雨なら鉄道。

       雨の日、鉄道で旅をするのは嫌いじゃない。風景が彩りを失いモノトーンに包まれるその空間は独特の演出だ。
       たたきつけるほどの大粒の雨が窓について外の景色など見えないというほどだと残念だけど、雨に洗われて色を濃く見せてくれる木々の葉など見ていると一種放心状態になったりする。
       テンションはどちらかというと低めで車内の空気もたいてい重め。自分が抱えるいやなことや面倒なことがあふれるように思い出されたりして(苦笑)、でもなんだかそれもよくないか? ――けだるさや面倒くささすら背負い込んで景色を眺める。
       JRの115系のモーター車なんかいいな。重々しい走行音、ドア開閉のエア音。
       通勤電車で雨に降られるとひどくうんざりするのに、この気持ちの変化は不思議。

       さて月末近くになるといつもお財布との相談だ。それは毎度々々のことなのだけど、特に今月は出費機会が妙に多くて貯金箱に手をつけなくちゃならない状況だった。
       どうしたって必要になるコストダウン。
       自転車で出かけるなら全般的に近めの場所。輪行も最小限とか、車を使うとか(もちろん入っている燃料の範囲で)、究極は自宅発自宅着とか(究極というか、ふつうの自転車乗りの方はこれなのだけどね)。
       それじゃ鉄道旅は?
       やっぱり大都市近郊区間大回り乗車。これに限る。
       新聞などでも取り上げられたりするからわりとよく知られていて、初乗り運賃でまる一日鉄道旅を満喫できる(途中下車もせずただ列車に乗り続け、乗り継いでいることが“満喫”に値するかは人それぞれの判断になると思うけど)。さらに最近は駅ナカ施設もずいぶんと充実したから、乗り継ぎ時間だって楽しめるかも。
       もっとも最近は自動改札で時刻の記録もされるので、初乗りきっぷで長時間経過していると自動改札ではさまれ、事情を聞かれるとか――。そのときはきちんと乗車経路を説明すればいいし、あるいはある程度距離のある区間(初乗り区間ではない区間)で降りる手もある。

       さあ、そんなわけで今週末はどうしようかな。天気予報とのにらめっこが始まるわけである(天気予報があてにならないと書いておきながら、天気予報をいちばん見ているのはこの時期のような気がする……)。

      福島県南部をゆく

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         傾きかけた日が水を張った稲田に反射してきらきらと輝く光景を眺めていた。
         道が続く。景色も続き、そのなかを変わらず下り続けていくばかりなのに、なんべんも立ち止まった。

         そもそもこのルートは「行けたら行こう」と考えていたのだ。パックツアーで言うならオプショナルツアーのようなもの。
         自転車に乗り、坂を上ったり下ったりするなかで、気持ちと体力が残っていれば行くことにしよう、暑くもあるし。そう考えていた。



         コースは前日の夜に決めた。
         久しぶりにUさんがサイクリングに行きましょうと言ってくれた。
         朝のJR東北線で輪行をし、降り立ったのは白河にほど近い白坂駅だった。
         ここ白河から羽鳥湖へ行ってみよう──、それが今回のコーステーマだった。天気予報も気温がぐんぐん上がると言うし、できるなら涼しく過ごせればいい、そう思った。

        今回のルート


         羽鳥湖への上りはなかなかにして楽しかった。
         もちろん坂を上るのは苦痛だから、ただ楽しいという言葉で片付けるのは違うけれど、田植えを終えた水田を抜け、次第に山あいに入り、新緑の木々に包まれると気持ちは高まり続けた。僕はどうやら春から初夏にかけての新緑が好きなようだ。薄い若草色の葉に覆われた風景のなか、少し5月にしてはまぶしすぎるとも思える木漏れ日を浴びながら道を進んだ。
         道は県道で、「白河羽鳥レイクライン」という愛称もつけられていた。白河から羽鳥湖へ向かう一本道だ。首都圏から向かうにはメインとなる道であろうに、車の往来は驚くほど少なかった。新しく付け替えられた道と、むかしからのままの道とが混在し、山肌に張り付いていた。僕はそれに見とれるたびUさんに声をかけ、立ち止まっては遠くまで続く道を眺めた。
         風が木々を揺らす音と、鳥の鳴き声しか聞こえなかった。




         ようやく羽鳥湖に着いた。道の駅で休憩をすることにした。うれしいことに100円で売られている250mlのコカ・コーラがあり、これをがぶがぶと飲みながらくつろいだ。気温が高いながらもここまで上がってくると涼しいと話した。それと車の出入りが少ないと話した。スキー、ゴルフをはじめ通年型リゾートとして開発されたと聞いたのに車が出入りする数が数えられるほどだった。季節なのか日が悪いのか、それともこんなものなのか。Uさんが、朝の道の駅なんてふつう、車が入れないほどじゃないのかな、と言った。──確かにそうだ。
         湖岸に沿ってサイクリングロードが整備されているのを見つけた。
         もともと引いてきたルートでは県道を進むけれど、この県道と湖とのあいだをどうやら通っているようで、ここを走ることに異論はなかった。設置された地図を見れば最後は県道に合流するようだ。
         サイクリングロードは、果たして僕らの前にはいつ誰が走っただろうと思わせるほど、枯葉や枯れ枝が柔らかく路面を覆っていた。僕らはそれらをよけたり踏んだりしながら進まなくちゃならなかった。道はくねくねと左右に折れ曲がり、微妙ながら起伏があるので、すべらないように気をつける必要があった。

         それでも道が気持ちいいものだからのんびりと進んだ。つり橋があったから自転車を置いて歩いて渡ってみた。使われているのかいないのかわからない小さな桟橋があった。これも自転車を置いて湖面まで行ってみた。まるで提供される高原リゾートの過ごし方をそのままセオリーどおりたどるようにサイクリングをした。そのあいだ、ひとりも人とは出会わなかった。
         突然、サイクリングロードが途切れた。
         舗装は切れ、路盤が10メートルばかり続く先に鉄パイプで組まれたバリケードがあった。工事中とあった。自転車通行可の標識の前で──。
         これはどう見てもダメだ──。僕とUさんは顔を見合わせた。もともとこの先がなかったのか、あるいは何らかの事態──それは震災の影響とか──でこうなっているのかはわからなかった。そして先が、路盤があるのかそれとも盛り土すらないのか、まったくわからなかった。
         選択肢はシンプルだ。並行している県道に戻るべきだ。なのにここからはどう見ても県道に戻る道はない。どうしたって思い浮かびもしないから、さっき湖面を見ながらくつろいだ桟橋近くまで戻ることにした。いささか距離があったけれど自転車だからそれほど大変じゃない。でもこれが歩いてまわっていたなかでの出来事だったらきっとうんざりするに違いない。







         走るのは県道でもサイクリングロードでもどちらでもよかった。
         羽鳥湖まで上ってくる道と比べてもまたさらに交通量は減った。山や湖はそんなこと関係なく春から初夏へとどんどん季節を進めているようで、力強く山藤が咲いていた。葉はよりいっそう緑を濃くしていた。
         高さ制限のある車が一台しか通れないトンネルが現れた。反対側の入口から立て続けに車が入ってくる。トンネル内はせまいから僕らが外で待っている必要があった。これだけ交通量の少ない道で、何でこんなときだけ車が来るのだろう……。僕らは最後の車一台を見送ってからトンネルに入った。

         トンネルを抜けた先は羽鳥ダムだった。これにより羽鳥湖が形成されているのだとここで知る。道はそのままダム堤のうえを渡る。広く、遠くまで羽鳥湖が望めた。男女のふたり連れが湖で釣りをしていた。釣れているのか釣れていないのか、場所がいいのか悪いのか、しょっちゅう場所を探して歩いていた。
        「ダムカードはもらえそうにもありませんね」
         そんなものはおろか、管理事務所だってどこにあるのかよくわからなかった。









         ここまで来ると今日の目的は達した気になった。
         もともと羽鳥湖を楽しもうというプランだったし、ここから先は湯野上温泉に向けての下り基調だからだ。
         中途半端なサイクリングロードだって通してみれば楽しめたし、風景も存分に楽しめた。
         僕らは羽鳥湖をあとにし、湯野上温泉への一本道をひたすら下っていった。

         湯野上温泉まで下りて会津西街道と合流したところで一度自転車を止め、それじゃ食事はどうしようかという話をした。
         それは裏返せばここで食べるか、大内宿に出かけてみるかというコース選択の会話でもあった。
         時刻は午後1時をまわっていておなかはすいていた。それでもまだ1時だから大内宿に行ってみたいという気持ちもあった。ここから6キロと書いてある。6キロならおおよそ20分、これにここからの標高差200メートル分を加える。100メートルを10分として20分。合計して40分との、いつもの適当な根拠なき計算結果をUさんに伝えた。
         行きましょう──。Uさんはおにぎりを持っていて僕はシリアル系のチョコバーを持っていた。これだけ食べて大内宿に行ってみることにした。

         こうしてオプショナルツアーは始まった。
         まず第一弾の大内宿へ向かう。
         僕の適当な計算はおおむねうまく当たり、午後2時ころ大内宿に着くことができた。
         そばを食べましょう──。
         Uさんの言葉に僕もいいですねと賛同する。宿場内は自転車を押して歩けばそのまま持っていけますよ──Uさんが言い、ふたりで自転車を降りて押した。

         僕は5年以上も前になるが、一度ここを訪れている。
         そのときはテレビで見ていた影響もあり、ねぎ一本で食べるそばを食べようと店を選んだ。そのあともテレビで見るにつけ、この「大内宿はねぎ一本でそばを食べる」ばかりが取り上げられているように見え、僕はあえてふつうに箸でそばを食べさせる店がいいとUさんに伝えた。
         選んだ店に入ると、店のかたが、心配でしょうから、と奥のほうに自転車を置かせていただけた。

         いろりのある畳の部屋。僕らは靴を脱ぎ座敷へ上がる。座ってしまったら最後、もう動けなくなってしまうのでは、そんな錯覚を覚えた。






        「このポスターの写真はどこで撮るのですか」
         そば屋でお会計を支払いながら、入口にある大内宿のポスターを見たので聞いてみた。宿場町全体を俯瞰した写真は、きれいに萱葺きの屋根が道に沿って並んでいた。

        「奥に階段を上っていける展望スペースがあるんですよ。そこからです。よく見えますよ」
        「階段はずいぶん上るのですか? 百段とか?」
        「そんなには上りません。百段はないです。ぜひ行ってみてください」






         大内宿そぞろ歩きですっかり気をよくした僕らは、あまり考えることもなく旧下野街道を進みながら中山峠へ向かっていた。そもそも時間や疲労度を見ながら湯野上温泉駅へ来た道を下ってしまうことも考えていたのだ。
         つまりこれがオプショナルツアー第二弾。

         結果的に、この先見た風景は、この日のツアーを締めくくるのに最高のシーンになった。

         山あいを行く旧街道は日がかげるのが早い。
         午後3時を過ぎたころ、木々は道路に長い陰を落とし始めていたし、目に入る風景はオレンジ色に染まりつつあった。
         大きなケヤキの木の下で立ち止まり、そしてまた坂を上る。中山峠と地図に書かれていた。新たに整備されなおしたであろう道路は、センターラインの破線が美しい弧を描きながら峠を越えていた。残念ながら峠を示すものは何ひとつなかった。「何か峠を示すものがあるといいですよね、自転車乗り的には」とUさんが言う。僕もそうだと思った。僕は道路標識の白看がいいと思った。無機質な標識──町界などにある「下郷町」(そして下にはShimogo T.と……)と書かれているあれだ──、中山峠と書かれた白看があればいい名と思った。確か伊豆の冷川峠で見た記憶がある。ちょっとマニアックな話なのでそれはUさんには言わずにおいた。
         空になったボトルを見透かしたように、「湧き水がありますよ」とUさんが止まる。自販機もない道で絶妙だ。水は冷たくておいしかった。渇いたのどをひとしきり潤したあと、空になったボトルにもすりきりいっぱい水を注いだ。周囲の木々ではヒグラシが鳴いていた。まるで晩夏の夕暮れのようだった。





         稲田の写真を撮っている時間がどんどんと積み上がっていく。日が少しずつ山稜へと姿を隠そうとしているのに、進んでは立ち止まりを繰り返し、眺めては写真に収めた。
         それだけの写真を撮っていると、ここ下郷町でこれだけ米を作っているんだと気づく。Uさんはこの会津の風景がいい、会津が好きだと言った。会津の米を食べたいと言った。
         いい風景のなかを走り、琴線に触れて立ち止まり、目に焼き付ける。あるいは写真に収める。そしてその土地のものを食べられたなら確かに素敵なことじゃないかと妙に納得させられた。
         下郷のお米って手に入るのだろうか──。

         会津田島駅。
         ここで今日は終わろう。残念ながら目の前で列車が行ってしまった。これから1時間10分待ちだ。
         周囲で何もすることのない駅前。コーヒー飲みたいですね、喫茶店でもあればいいんですけどね、と笑った。







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