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    寄居・長瀞・秩父華厳の滝

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       その存在を知らなかった。
       たまたま地図を見ていて目に入っただけなのだ。
       華厳の滝──?

       ふと、東武東上線に乗りたいと思った。それがこの二週間ほど。
       もう10年以上乗っていないと思う。同じ東武でありながら僕が乗る本線系統と細かないろいろに違いを感じる、僕からすると不思議な路線。
       久しぶりに寄居まで乗りたいと思った。

       だったらちょうどいい。自転車を持って行こう。

       東上線には快速急行なんて種別があった。Fライナー、元町・中華街……思い返してみれば副都心線を経由して東横線に入るようになってから一度も東上線には乗っていないんだ。池袋からの狭い路地をごとごと走りながら和光市で急に開けると、地下から上ってきたそんな速達列車が入ってきた。
       乗るとあっという間に森林公園に着いた。僕は川越市から先、かなりの時間を要する路線だと思っていたから意外だった。坂戸、東松山、森林公園。そこから小川町行きの普通に乗り換え、さらに寄居行きに乗る。
       僕にとってはすっかり懐かしい8000系が走っている。


      (僕が子供のころの旧塗色とすれ違う)


       荒川に沿って走っていると長瀞の商店街に入った。狭い路地に観光客があふれ、車も入り乱れることで雑然とした印象を持つ場所が、いたって静かだった。まだどこも店が始まっていない。
       裏手で今日一日の準備をする音や雰囲気が感じられる。活気のある一日になるかな。僕は自転車を押して商店街を眺めながら進んだ。
       上長瀞で川辺に下りてみた。
       秩父鉄道の鉄橋が見たくなった。
       写真ではよく見かける風景、じっさいに見たのはいつだったろう。
       子供の時分、ここで鉄橋と電車を眺めながら泳いで遊んだ記憶がある。──本当かな。水面を見ていると目がまわるほどの急流と、そこを勢いよく通過するライン下りやラフティング……とても水遊びをできる場所には見えない。記憶違いかな。
       鉄橋を行く列車が見たくて、通過を待った。



      (まだ静かな長瀞商店街)



      (上長瀞の鉄橋)


       秩父華厳の滝へ向かう道は、知らない道だった。
       知らない、というかノーマークだったんだと思う。県道284号、皆野から西へ、道の駅龍勢会館へ向かうまわり道だから。まっすぐに向かう県道37号に比べたら大まわりで山にも上らなきゃならない。秩父華厳の滝がなければ、意識しない道だった。
       坂を少しずつ上っていく。道がぐんぐん狭くなる。
       町営バスが狭い道で追い越していった。場所によっては自転車だって退避しなきゃいけない。こんな場所を運転して、生活が確保されてる。
       場所は、すぐにわかった。
       看板があったから。


      (秩父華厳の滝の入り口)


       僕は、瞬間冷却するように興ざめした。
       なんだろう、どこか僕の嫌悪する部分に反応する。──順位付けが? 訴えかけるポイントが?
       わからないまま、でもせっかく来たのだから自転車を止めて滝へ歩いた。

       息を飲んだ。


      (秩父華厳の滝)


       大きくはない。でもすぐそこに滝がある。目の前で落ち、耳に、腹に届く音は至近だ。時間が早いせいなのか人もいない。誰もいないまま、まっすぐに落下する水、立ち上る小さな飛沫や霧、時差なく届く音は究極の臨場感、圧倒される迫力だった。
       靴下を脱いでその水に入ろうかと思ったけど、気温がまだ上がりきっていないから躊躇した。
       このままであればいいのに。神秘とか宗教的なものとか自然の力だとか、そんなものなにもいらない。あと付けの理由なんて何もいらないから、この滝をこのまま見たい。そういうものは個人々々で感じればいい。僕はそう思った。道路に向けて建てたあの看板が、「秩父華厳の滝」の文字と矢印だけで示していればいいのにと思った。
       誰もいないから、滝に向かって両手を広げて伸ばした。滝の全力を受け止めてみる。

       自転車に戻るとさらに坂を上り、ピークにある天空の楽校という場所に寄ってちまきをいただき、山を下って秩父へ向かった。
       コーヒーが飲みたい。ずっと寄ってみたかった千茶古(ちゃこ)って喫茶店に行ってみよう。


      (珈琲千茶古)


      ***


























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