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    • 2017.12.04 Monday
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    御霊櫃峠、湯野上温泉、大内宿(2016.5.21〜22)

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      <一日目 郡山〜御霊櫃峠〜猪苗代湖〜湯川〜会津若松〜湯野上温泉>



      (5月21日のルート)


       朝一番の東北新幹線から降りた郡山は肌寒かった。前日の天気予報は夏のような陽気と言っていたのに──。僕は輪行袋から自転車を組み上げるより前に、ウィンドブレーカーを羽織った。でもふと、もっともだなと思う。まだ5月下旬になったばかりなのだ。
       そんなわけで郡山の市街地を抜けて一帯が水田地帯になると田植えが盛んにおこなわれていた。
      「今時分なんですね」
       と僕は言う。今日はUさんと一緒だ。
       4月中旬、僕はUさんに誘われて房総半島の内陸をサイクリングしていた。そこで見ていた風景はやはり田植えだった。僕の暮らす埼玉県ではおおよそゴールデンウィークがそのどまんなか、場所により田植えの季節は違うのだなと思った。田植え前線というものがあれば、それと一緒にサイクリングをしているような気分だ。
       田植えをながめながら僕はウィンドブレーカーを脱いだ。日が昇り、駅での肌寒さを忘れるほど気温は上がり始めていた。


      (朝の郡山駅前は肌寒かった)


      (市街地をすぎて水田のなかの一本道)


       御霊櫃峠へ向かっている。
       今日は自転車仲間の集まりがあって、湯野上温泉に向かうことになっている。集まりとはいっても少し趣向が変わっていて、その日の宿だけ決めてみんな自由走行、それぞれが旅の内容を夜好き勝手に話そうというもの。僕は南会津の前沢曲家集落とこの御霊櫃峠を考えていたのだけど、一緒に参加するUさんに話をしたところ、Uさんも御霊櫃峠を考えているのだと言った。ならばと僕らは郡山駅で待ち合わせをし、西に向かって走り始めたのだ。
      「ここから御霊櫃峠に向かいます」
       御霊櫃林道の入り口で僕らは少し長めの休憩を取った。一面若草色の緑は気温の高さこそあったけど春の心地よさがあった。



      (峠へ向かう御霊櫃林道の入り口)


       峠への坂を上り始めた。僕がこの峠を知ったのはテレビ番組「峠TOUGE」だった。もう二年以上も前だろう。同じ番組をUさんも見ていた。それからUさんは一度ここを訪れた。僕は初めてこの坂を上る。
       休憩中、今日参加すると聞いていたKさんが郡山で降りた写真をツイッターに上げているのを見た。その後に上げた写真が水田のなかの一本道で、それは僕らが走って来た道に似ていた。まさかね──と思う。だってこの峠はふつう、ルートとして組み入れるにはマイナーすぎるから。
       途中、車に出会うこと数台であったのに、峠の駐車場にはけっこうな台数の車が止まっていた。峠にあった地図をながめていると登山道もあるようだから、朝早く車でやって来て山登りを楽しんでいるのだろう。
       ここの峠はそれを示す標識や碑はない。自転車お約束的に峠の名前をバックに写真を撮ることができない。ここがそれとわかるのは御霊櫃峠公衆トイレ、その文字だけだ。記念写真としてもさすがにためらい、何枚もの風景写真を撮ることに気持ちを切り替えた。
      「こんにちは」
       と大きな声で背中に声を受けた。
       まさかのKさんだった。
       追いついてきたのだ。


      (峠に向かう途中の原っぱですでに絶景の予感)


      (御霊櫃峠から郡山市街地方面、鏡のような水田、山肌への道つき)


      (御霊櫃峠から猪苗代湖方面)


       Kさんは女性だ。1時間もあとの新幹線で追いついてきたペースも驚かされる──いやむしろ僕のペースに問題があるのか──けれど、僕は彼女がこのルートを選んだことに驚いていた。峠から上れる小高い丘に向かいながら三人で談笑する。郡山市街も反対の猪苗代湖もしっかり望める絶景峠だった。
       ここからは三人になって峠道を一気に下る。僕は峠でウインドブレーカーを着こんだ。峠からはまるで大きな水たまりに見えていた猪苗代湖が、やがて近づくにつれその広さをまざまざと感じる湖になった。下りはあっという間だ。
       昼をまわりお腹もすき始めたので昼食をとる場所を探す。ここは一度走破経験のあるUさんにお任せすることにした。午後1時半も過ぎたころ、猪苗代湖畔、舟津浜の旅館兼食堂に入った。


      (三台の自転車で下りへ向かう)


      (下ってきた)


      (猪苗代湖畔、舟津浜)


       湖南町、広い郡山市をいまだ抜けないまま猪苗代湖沿いを走った。ちょうど対岸に見える磐梯山が、少しかすみながらもその雄大な姿を見せていた。思い思いに写真を撮るものだからなかなか先に進めないのはいつものこと──。



      (写真‥猪苗代湖畔を走る)


      (写真‥猪苗代湖畔越しに望む磐梯山)


       一度国道294号に出た僕らは黒森峠をトンネルで抜けた。それを下ったところでKさんが「じゃあここで」と言う。彼女はこのまま国道を走り、吉ヶ平ダムを見て背あぶり高原を経由し東山温泉に抜けたいのだと言う。その後一度逆戻りするように東山ダムにも行きたいのだそうだ。僕らはここから名もわからぬ林道を走り湯川地区へ行こうと思っている。林道がつながる県道325号に入り、東山ダムから東山温泉を抜けて会津若松へ出ようとしていた。
      「すれ違うかもしれない」
       と僕は笑った。Kさんのルートはタフだ。そんなことは気にも留めずに、Kさんは
      「ダムカードもらってきて夜見せますね」
       と言い、手を挙げると国道294号の坂を下って行った。

       しかしながらこの名もなき林道の上りもなかなかタフだった。でもゆっくり上ればいい。僕らはアスリートじゃないのだから。
       期待していた景色は晴れない。どちらかというとかすみが強くなって、やがて雨が落ち始めた。
       はじめのうちはこのまま通り抜けられればいいなと思っていたけれど、そんな期待など簡単に裏切られ、やがて音を立てて雨が落ちてくるようになった。
       僕は昼食を取った食堂から脱いでいたウィンドブレーカーを着こんだ。Uさんもウィンドブレーカーを着た。僕はカメラと携帯電話をジプロックに包み、リュックのなかへしまった。
       天気予報がまったく口にしなかったこの雨模様は着ているものをすっかり濡らしてしまった。重く、冷たい。自転車は車輪が泥をはね上げる。それがまた服にかかる。
       しかしUさんは泥はねの影響を受けない。今回持ってきているツーリング用の大きなサドルバツグのおかげだ。
       Uさんは今日、手ぶらだ。これまで日帰りであってもリュックを背負っていたUさんが、だ。導入した大型のサドルバッグは、リュックの荷物を収納できるほどの容量があると言う。僕は今朝、郡山の駅で興味津々ながめさせてもらった。フェアウェザーという国産のバッグだそうだ。
       そのサドルバッグは大型のうえ、防水になっているからちょうど泥除けの役割を果たしてくれる。なるほどはね上げた泥水で汚れ、濡れてしまった僕の背中とは違い、Uさんはサドルバッグに守られていた。僕もこのバッグを探してみよう、と思った。
       結局そんな雨模様のせいで林道も県道325号も立ち止まることがなかった。カメラもしまっていたので写真を撮ることもなかった。僕らは淡々と坂を上り、下った。林道も県道も、何度も立ち止まりたい場所のある素敵な道だった。残念ながらそうしなかった。
       やっと雨が弱くなってきたのは東山ダムに着くころだった。人の姿もなく静かな場所だった。事務所に人はいない。これじゃダムカードはもらえない。そういえばKさんはもうここに来たのだろうか。僕らはさらに県道325号を会津若松に向かった。
       東山温泉は会津の奥座敷と呼ばれる場所と知ってはいたけれど、来たのは初めてだった。昭和の温泉街とリノベーションされきれいになっている温泉旅館がうまく融合していた。射的屋がやっていた。雨も上がったので温泉街で休憩しながら僕とUさんは缶コーヒーを飲んだ。スマートボールをやってみたいと思った。そういう温泉街だ。


      (東山温泉街)


      (射的屋。スマートボールをやりたい、などと思う)


       結局Kさんとすれ違うことはなかった。
       会津若松市内まで一度下り、今度は会津西街道で南下する。方角的には南から北へ出てもう一度南に行くのでなんだか損した気分だが、あいだに深い山が立ちはだかっているので通行止めになっている荒れたダートの林道しか道がない。
       会津若松からの25キロは頭になかった。もっと距離が短いと思っていたが上り基調で1時間半を要する道のりだった。雨でずぶぬれになったこともあって僕もUさんも疲労していた。狭い道、路肩のない長いトンネル──そこの多くは上り坂だった──、そんなものをいくつ越えたかももうよく覚えていなかった。湯野上温泉、「いなりや」に着いたのはもう薄暗い6時半。すでに3人が到着していた。
       温泉に入り冷えた体を温めて夕食に臨むと食べきれないほどの料理が並んだ。あとから再合流になったKさんも含め集まった総勢7人。一日の旅の思い出を聞きながら、あっという間に夜が更けた。

      ***


      <二日目 湯野上温泉〜塔のへつり〜大内宿〜会津田島>




      (5月22日のルート)


       翌朝は青空が迎えた。前夜同様の食べきれないほどの朝食をお腹に放り込んで、今日は7人でのサイクリングである。
       まずは塔のへつり。
       僕は会津鉄道の駅にもあることから名前だけは知っていたが、ここを訪ねるのは初めてだった。湯野上温泉から南へおよそ5キロ。この後再び湯野上温泉を経由して大内宿に向かうことから、荷物は宿に置かせてもらった。

       長年の浸食によって生まれたそこは奇妙でさえあった。こんな浸食の仕方をするのかと思うほどまんなかだけがえぐれ、岩には地層が浮かんでいた。
       湯野上温泉からここまでくる、素朴な風景が心落ち着いた。水田が広がり、昨日の郡山市内同様まさに田植えの真っ最中だった。田に水を張り、なかには手植えをしている水田さえあった。そんな風景のなかをみんなで走る。ときおり、姿の見えない会津鉄道の気動車が、そのエンジン音とレールを刻む音を残していった。


      (塔のへつり)


      (美しい風景のなかを行く会津鉄道)


       湯野上温泉から大内宿への上りは一度走ったことがあった。これもUさんと一緒、去年のことだ。Uさんはまだ小径車に乗っていた。道を知っている、というのはたいして役に立たない。一度走っているから今回は楽に上れるかというとそんなことはないものだ。湯野上温泉から約8キロ、着いた大内宿はすでにたくさんの人でにぎわっていた。
       思い思いに写真を撮り、気に入った店をながめ、ラムネを飲み、そしてみんなでそばを食べた。そしてポスターでお決まりのアングル、高台にも上った。



      (まずは冷やしたラムネをいただく)


      (定番の場所で写真撮影会)


       7人の旅はここで解散になる。
       またそれぞれの思いのある旅を続ける。このメンバーの旅の良さだと思う。
       昨日一緒に走ったKさんは大内ダムが見たいと旧街道経由で会津若松に向かった。Sさんも一緒のコースだった。会津若松からの列車の時間もあるらしく、まずふたりが出発していった。
       それからAさんとWさん、湯野上温泉に下り国道121号経由で会津田島の駅に出るという。「ナガヤマさんは?」と聞かれ、僕は旧街道経由で中山峠を通って会津田島に行こうと思ってますと答えた。今回の旅の手配をすべてしてくれたHさんは会津若松に向かうというが、KさんSさんのルートではなく坂の少ない国道121号経由で行くという。昨日から一緒に走ってきたUさんは最後まで悩んだようで、結局KさんSさんが向かったルート、つまり旧街道で会津若松へ向かう道を選んだ。それぞれが、それぞれの旅にまた出発する。

       僕はひとりで中山峠へ向かった。この道の美しさと静かさは格別だ。前回の大内宿の帰り道もここを通った。緑のなかを鳥と虫の声が包む。
       坂はきついが長くはない。下りに入って途中湧き水を汲んだ。美味しい湧き水だ。
       峠を下ると分かれ道で左に下れば下郷へ抜けられる。前回はこちらを選び、下郷から田島まで国道121号を走った。今回は右、山の裏手から田島へ抜けることにした。本当は昭和村をまわってみたいけれど、さすがに時間がない。
       しばらく平坦でやはり同じような水田地帯を行くが、やがて上り坂になり水田もなくなった。もともと車通りがほとんどなく、人もいなかった。道は再整備されたのか広く高規格だった。新緑はどこまでも深く、気持ちはいいものの、僕は帰りの列車の時間を気にして少しだけ心細くなった。


      (湧き水の名所、高倉山の湧水)


      (もちろん、しっかりいただいて)


       しばらくののち、国道400号に出てしまえば会津田島はすぐだった。トンネルを越えてからは田島の町まで一気の下りで、スキーで何度も訪れたことのある見慣れた町に入っていた。国道289号の阿賀川の橋が見える。──旅も終わりだ。
       踏切を渡って線路沿いを進み、駅前ロータリーに入った。ホームには見慣れた東武電車の快速車両が止まっている。さあ輪行して帰ろう。
       駅舎に入ると、改札をくぐるWさんとAさんのうしろ姿が見えた。



      (合流し、帰りの輪行を)

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