もともとサイクリングにとってトンネルは鬼門で、多くは忌避される場所である。
三浦半島を走っていて横浜から横須賀へ向かうときは国道16号を走る。この区間はトンネルが多く、それぞれのトンネルに距離はないものの、あれだけの交通量のなか立て続けに路肩のないトンネルを抜けていかなくちゃならないのにはうんざりさせられる。
ほかにも走りにくい、走りたくないとされるトンネルとして、正丸トンネル(国道299号)、笹子トンネル(国道20号)、三国トンネル(国道17号)などが関東近県ではよく聞かれる。
なかでも三国トンネルは自転車にとって群馬県と新潟県とをつなぐ唯一の道路だ。おまけに正丸峠や笹子峠のように自転車の代替路になりうる旧道の類がない。もしここを通らないで新潟に行こうとするならば、大きく東に迂回し、日光から桧枝岐を経由し樹海ラインから小出に出るか、同じく日光から只見経由六十里越で小出に出るか、西に迂回するなら草津から志賀高原、野沢から十日町に抜けるか、だ。
──この迂回はこれで、壮大過ぎて別の意味で心くすぐられるのだけど。
かような状況なので、新潟へ向かう自転車乗りは心を決めて三国トンネルへ突入する。トンネルを終えてからも続くスノーシェッドをこなし、苗場のスキー場が目に入るころやっと、自分が生きている心地を実感するのだ。
そんな悪名高き三国トンネルについに新トンネルが着工される見通しになった。
新三国トンネルという。
先月(2013年9月)起工式が行われ、実際にトンネル工事が始まるのは来年から。トンネル本体の工事だけで5年はかかるとか。
現三国トンネルは旧道として残るのかな。
国道17号 三国トンネル